数か月前、うちの子が不登校になり始めの頃に、書店で手に取った本を、たまたまアマゾンで目にする機会がありました。
正直に言うと、手に取ったその日は、全部読みたいのに辛すぎて読むことができずギブアップした本なのですが・・・
子供が不登校になって早3か月、私もかなり耐性がついてきたので、早速kindleにダウンロードして全部一気に読みました。
『娘が不登校になりました』という本と初めて出会った時
実はこの本、今こうして改めて自宅でKindleで読むと、30分もあれば読める漫画なのですが、今年の春、書店でこの本を見つけて手に取って立ち読みした時は、子供が不登校になり始めのご家庭なら、多くの人が体験するであろうシーンが辛すぎて、冷静に読み進めることができませんでした。
たとえば、「お母さんが毎朝学校に休みを伝えるために電話するシーン」とか、「道で制服を来て通学するよそのお子さんを見て辛くなるシーン」や、「学校の先生が家庭訪問に来たり、お友達が迎えに来たりすることを、娘さんが負担に感じてしまうシーン」とか・・・
漫画自体は「本当にあった笑えるはなし」という副題が付いているように、コミカルなタッチで綴られていますが、不登校のなり始めと、最初の1~2か月の家庭内の様子がリアルすぎて、丁度我が家の状況とリアルタイムで重なっていたので、当時は辛すぎて・・・(苦笑)
立ち読みを始めて1~2分で、自然にツツーッと涙が出始め、涙はさりげなく服の袖口で拭けても、鼻が出始め、カッコ悪すぎて立ち読みを続けられなくなり、本を棚に収めて逃げるように帰宅したのを、今となっては懐かしく思い出します。
なのでこの本は、どちらかというと保護者の立ち位置の方が手に取られることの多い本かと思いますが、不登校になり始めの混乱期ではなく、少し落ち着いた頃に読み始めるとよい本だと思います。
最初に言ってしまうと、この漫画を読んだからと言って、何か特別な学びや不登校の解決策があると言う訳でもなく、とある母子の歩みを知ることができるだけなんですが・・・
お母さんも子供も、だいたい同じような道をたどって、みんなどこも苦労してるんだなという「心強さ」と、そしてここが一番大切なのですが、どんなことがあっても、ちゃんとそれぞれの道があるという「未来の希望」が感じられたので、読んでも損ではないなと思った次第です。
ということで「読むとよい(というか、読んでも損はないな)」と思った理由、そして逆に「これはいただけないな」と思った感想は、この後順にご紹介します。
微ネタバレっぽいレビューと我が家の体験談のミックス記事になりますが、ご了承ください。
読んでよかったなと思ったところ
この本の主な登場人物は、漫画家のお母さんと一人娘さん。2人家族の母子家庭です。
これまで元気に中学校に通って、クラブ活動も熱心にしていた娘さんが、突然中学2年から学校に通えなくなるところから漫画が始まります。
母子家庭であることと、勉強もクラブも一生懸命だったのに、突然2年生から学校に行けなくなるところが、我が家と全く同じシチュエーションです。
(違うのは、子供の性別と、不登校に至った原因です。)
今我が家は、中学2年から学校に行けなくなって3か月ほどになりますが、最初は、親子間のコミュニケーションや、学校とのコミュニケーションがうまくいかず、ストレスマックスの日々でした。
担任の先生が善意の気持ちから2日1回の割合で家に来て登校刺激をしてくれたり、ある日突然お友達が4人位で迎えに来てくれたり・・・
学校に行きたいのに行けない不甲斐なさで、誰かが笑顔で訪問してくれる度に、トイレに逃げてさめざめと泣くチビと、それをなすすべもなく見守る私と、子供も私もストレスマックス状態で限界スレスレ。
母である私が少しだけ落ち着いて、学校との調整もうまく行きだし、突然登校刺激をされたり、お友達が迎えに来たり、学年主任が子供と交換日記をしたいと言い出したりという、それぞれが「よかれと思って」勝手に行動に出るスタンドプレーがなくなり、家の中がやっと安全地帯になりました。
が、少し落ち着いてくると、「勉強はどうするんだろう」とか「受験はどうするんだろう」とか、「そもそも中学卒業できるのかしら?」とか、いろんな疑問や不安が、私の中に出てきた今日このごろです。
口には出さないまでも、他でもない子供自身が私と全く同じ不安を抱えているのが、肌で感じられるところも辛いところではあります。
そんな中この本は、未来が全く見えなくてお先真っ暗の私に「こんな道もあるんですよ」とか「ちゃんと出口はありますよ」と暗闇の中でも、ぽつりと光が見えたような気にさせてくれました。
学校カウンセリングの先生からも、「出席日数が足りなくても中学は卒業できます」「受験しなくても入れる高校(or高校卒業資格が取れる専修学校)が沢山あります」と、アドバイスいただいています。
この本の中でも、通信制(単位制)の北海道に本校のある高校が出てきますが、実は世の中、こういう学校が探せばたくさんあります(私も最近知ったとこです)。
おそらく本の中に出てくる、北海道に本校がある学校というのは「クラーク記念国際高等学校」のことかなと思うのですが、学費は高いけれど、自由度が高い学校だと人づてに聞いたことがあるので、我が家も将来の進路候補にしています。
本の中では、不登校になった娘さんの中学2~3年の生活と、高校受験、そして高校生活までが描かれ、その後の大学・専門学校受験と進学の顛末に少しだけ触れられています。
この漫画は、当事者として読むのは所々辛いシーンもありますが、決してドロドロと悲しい漫画ではないのが救いだったということと、お先真っ暗な中に少しばかり未来が見える結末だったので、読後感はよかったです。
繰り返しになりますが、不登校なり始めのご家庭の親御さんにとっては少しキツイ内容かもしれませんが、「うちだけじゃないんだな、みんな頑張ってるし、みんなそれぞれの道があるんだな」と勇気がもらえる本なので、時期を見計らって読んでみてはどうでしょう。
⇒『娘が不登校になりました。』の詳細はこちら<Amazon>
これはいただけないな!と思ったところ
これは、不登校の子供を抱える家族でなくても、おそらく、全世界・万人に共通する戒めだと言ってしまってよいと思う位大切なことだと、私は思うのですが・・・
「産まなきゃよかった」
これは絶対に言ってはいけない言葉ですね。どんなに親子喧嘩でエキサイトしても、絶対に子供に面と向かって言ってはいけません。
私は子供の時、「産まなきゃよかった」という言葉じゃないんですが、とてもショッキングな言葉を、何度も母親から投げかけられました。それは・・・
「お前を産んでお母さんの人生が台無しになった」
この手の言葉は、言われた方はキツイんですよ。産まれてくる方は、何も選べないわけですから・・・
自分が子供を産んでやっと分かったことですが、産んだ子供のせいで母親の人生が台無しになることなんか、絶対ないですw
一瞬一瞬、全ては自分の選択で人生が進んでいくんですから、百歩譲って子供を産んだから一時的に思い通りな人生じゃなくなったとしても、少しづつでも軌道修正をしていくのは他でもない自分自身の仕事なので。
母と私は別個の人間で、それぞれの人生を歩むんだと、心の整理がついた今でも「お前を産んで人生が台無しになった」は、私の心に深くささる言葉です。
だから、例え親子喧嘩をして「子供なんか産むんじゃなかった!」と思っても、そこだけは、グッとこらえてほしかった、というのが、私的な感想ですが、他所様のもう終わった出来事に対して私が感想を言ってもしゃーないですねw
あと気づいたことは、「親は自分が望めばいろいろ選択できるけど、子供は選択できない(選択肢が思いつかない)。だから苦しい。」ということ。(極論ですが、この作者さんは産む産まないの選択も可能な一方、子供は何も選べないんです。)
親は大人だし今までの人生経験があるので、一つ一つ決めて動けますが、家と学校と地元のコミュニティという狭い世界しか知らない子供は、その狭い世界でのたった10年たらずの短い人生経験の中からでは、判断に困ることばかりで全然動けずにいるんですよね。
何をどうしていいのか分からずに苦しんでいるのは、私達親はもちろんのこと、ほかでもない子供自身なんだと、改めて気づけたことは大きいし、親である私がくじけそうになっても、子供はもっと辛いんだ!と、自分を鼓舞し続けたいです。
狭い世界での人生経験しかなく、「何をどうしていいのか想像もできず絶望している子供」、ここに気づきを得ただけでも、「お前を産まなきゃよかった」というくだりも、気分は悪かったですが、読んで損はなかったと私は思いました。
あと、作者さんが、親とカウンセラーのカウンセリングを「本人抜きでカウンセラーと「困ったね」と言い合うばかりで何の解決にもならない」とバッサリと切って捨てているところは、少し気になりました。
確かに学校カウンセリングの先生からは、何の解決策ももらえませんが、カウンセリングというのはそもそも、解決策をもらえる場ではないので・・・
小学5年の時から学校カウンセリングのお世話になっている私の経験上、親がカウンセリングを受けるだけでも、かなり効果がありますので、おそらくこの作者さんは、よい学校カウンセラーさんと出会えなかったのだなと思います。
でもこれは、カウンセラーとの相性とか、作者さんの考え方とか、色々人それぞれありますから、難しい問題ですよね。
あと、給食費が数か月分余分に引き落とされていたことに気付かなかったシーンがあって、これは作者さんは学校と行政を責めていますが、自分の通帳の入出金を何か月もチェックしていなかったということで、完全に自分の責任かなとw
ただ作者さんがストーリーの中で触れられている通り、公立の学校の後手後手感や、公の機関のスピード感のなさは、まさにその通りで、その点に関しては激しく同意します。
まとめ
こうして、ザッと感想を並べてみると、「これはちょっとな~(汗)」と思った箇所の方が多いですが(笑)、全体的には読んでよかったと思える本でした。
アマゾンの皆さんのレビューを読んでも同じことを感じている人が多いですが、この作者さんは、少し自由で個性的な方で、私のような平凡で標準的な人間とは少し違う方のようなんです(芸術家肌っていうのかな~?)。
なので読んでいて「ほぇ?」となる箇所も多いのですが、子供が突然不登校になった時の親としての葛藤や、「みんなやってる普通のことが無理だった我が子」に寄り添い理解しようとする姿に、同じ母親としておおむね共感できました。
2016年に出版という事は、娘さんが中学生だった時は、単純計算で2010年前後ということになると思うのですが、10年近くたった今も、学校や役所など公的な機関は殆ど学習&進化していないんだな~という事にビックリしました。
できればこの本は、不登校の子供を持つ保護者はもちろん、学校関係者や、役所の福祉関係の人にも読んでもらいたいな~と思った次第です。
今はまだ無理でも、うちの子達が大人になった時代には、不登校で苦しむ子に寄り添ってあげられる大人が増えるのかしら・・・
そう考えると、今の私達の日々の葛藤や奮闘や、本や文章にして記録を残していくことも、何か意味のあることなのかもしれませんね。
ちなみにこの『娘が不登校になりました。「うちの子は関係ない」と思ってた (本当にあった笑える話)』、紙の本で購入すると1080円ですが、kindleで購入すると648円、kindle unlimitedの会員の方は定額読み放題で読めます。
私もkindle unlimitedの会員なので、サクッとダウンロードして読みましたが、30分足らずで読める本なので、会員の方はぜひkindleで読んでみて下さい♪
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